慰安婦の真実を追い求めて | The New Yorker

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は今年の1月、第二次世界大戦中の戦地に設置された「慰安所」に送り込まれ、旧日本軍兵士たちに性的サービスを提供させられた女性や少女たち、いわゆる「従軍慰安婦」に対して行なわれた残虐行為に関して、韓国の裁判所から最近日本に出された賠償命令について執筆しようと、論文のアウトラインを練っているところだった。この女性たちはアジア内外の各国で強制的に、あるいは詐欺行為によって捕らえられたのだが、その多くは当時日本の植民地であった朝鮮から来たのであった。被害者数については数万から数十万人と、幅広い推定数が示されてきた。原告の12人の韓国人元従軍慰安婦(2013年に訴訟が起こされた後に亡くなった7人の故人を含む)に対して一人当たり約1億ウォンの賠償金を支払うように命じた判決について、日本政府は1月23日に「極めて遺憾であり、断じて受け入れられない」とする談話を発表した。日本側は韓国の裁判権に服することはないとした上で、この問題はすでに解決済みだとの立場を表明した。私は第二次世界大戦中の人道に対する罪に関わる法的判断が、過去に置き捨てがたい歴史的なトラウマを解消することに役立つのか、はたまた悪化させるかと思いを巡らせていた。これらの判断が、実際に起きた真実をめぐる争いや否定の繰り返しに度々巻き込まれて来たからだ。

ところが1月31日以降、私が教授を勤めているハーバード・ロースクールでの長年の同僚であり、日本における企業法務の専門家であるJ・マーク・ラムザイヤー氏について、私は学生や卒業生から連絡を受けるようになった。彼のことは、控えめな60代後半の男性として知る以外に、私の夫とサイクリングに出かけたことがあったり、日本製の包丁を購入する際に一度アドバイスしてもらったことがある程度の付き合いだった。アジアで活動していたキリスト教メノナイト派の米国人宣教師の祖父母と両親を持つラムザイヤー氏は、日本で生まれ育った。そして彼の業績の中には、戦後の日本経済に関する定説を覆した研究も含まれているということも私は知っていた。

私に連絡してきた学生や卒業生たちによると、ラムザイヤー氏が最近書いた二つの論文がいずれも慰安婦に関する歴史的コンセンサスに挑戦するものだったため、韓国でトップニュースになっているとのことだった。そのうちの一つは「太平洋戦争における性行為契約」という論文で、これは『International Review of Law and Economics』という学術誌のオンライン版に12月に掲載されたものである(同誌3月号の印刷本に掲載予定であったが、その後編集側の要請で出版が遅れる見通しだと報じられている)。もう一つは、1月12日に保守的・国家主義的な傾向で知られている『産経新聞』の英語ウェブサイト、『Japan Forward』に掲載されたオピニオン記事だった。この2つの記事のメッセージは明確で、従軍慰安婦制度というものは朝鮮人女性が強制的に、あるいは騙されて性的隷属状態に置かれたり、暴力の脅威によって監禁されたりするようなものではなかった、というのである。ラムザイヤー氏曰く、そのような記述は「完全な作り話」なのだそうだ。そうではなく、朝鮮人慰安婦たちは自ら「売春業を選んだ」のであり、中国や東南アジアの戦地にあった「売春宿」の経営者たちと数年間に及ぶ「年季奉公」という形で働く契約を交わしたのだ、と彼は主張している。また論文の中でゲーム理論を応用しているとするラムザイヤー氏は、この金銭契約の構造そのものが性労働が自発的に選ばれたものだったことを反映している、と主張する。曰く、「売春婦たちはどこへでも軍隊について行ったのであり、彼女たちはアジアでは日本軍について行ったのである」。

ラムザイヤー氏の論文をめぐるニュースは、まず日本国内で好意的に報じられてから、次に韓国、そして世界中へと伝わっていった。そしてこれは学術上の論争にとどまらず、すでにこじれていた日本と韓国との外交関係、さらには両国の同盟国としてのアメリカのデリケートな立場にも影響を及ぼしかねないものだった。アメリカ国内では、連邦議会の二人の議員がツイッター上で、「最低だ」とラムザイヤー氏の主張を批判し、国務省は「第二次世界大戦中に、日本軍によって女性が性的な目的で売買されていたことは、甚だしい人権侵害だった」と断言した。そして特に私に、ラムザイヤー氏についてのメッセージが寄せられていたのは、私自身がハーバード・ロースクールでアジア系アメリカ人の女性として初めて、そして韓国系としては唯一テニュア(終身在職権)を授与されてる人物だからである、ということも理解していた。私はソウルに生まれ、両親は朝鮮戦争中に北朝鮮側にあった故郷を追われた避難民だった。少なくとも一人の卒業生は、私の身分、民族性、フェミニストとしての立場、そして正義の問題を扱ってきた著作活動からすると、ラムザイヤー氏の件について沈黙を保つことは彼と「共犯関係」を持つことだ、と私に書き送ってきた。

私は同僚の考え方を十分に理解するためにしばらく時間を費やした後、これから公の場で意見の相違を表明することになると、本人に伝えた。同時にラムザイヤー氏が研究活動や意見表明を通じて学問の自由を行使することに対して、もし大学等による組織的な制裁を加えようとするような動きが出て来た場合、それには同調せず、またそれを助長するようなこともしないとも伝えた。私はソーシャル・メディア上に、契約分析は自由に行動できる当事者間の自発的な交渉を前提としており、性行為が義務付けられ、それを拒否したり立ち去るという選択肢が存在しない状況は、公平に見て契約下にあるものであるとは言えないとラムザイヤー氏の議論に対して短い批判を載せた。もし従軍慰安婦が力ずくで、脅迫、詐欺、そして強制によって徴集・監禁されていたという彼女たちの証言をラムザイヤー氏が信用していたなら、彼は慰安婦が交わしたとされる契約について論文の中にあるようには記述することはなかったはずだ、という確信を私は持っていた。私には、ラムザイヤー氏が元慰安婦による証言を一貫性に欠けている、あるいは彼自身が書いているように「利己的」で「立証されていない」と考えていることが、信用するに値しないという前提に反映しているように見受けられた。しかしその反面、私は彼が、日本政府による(従軍慰安婦に関する)否定発言を、それが同政府によって出された他の発表と矛盾するものであったとしても、信用している、という点についても気がついていた。私は、同僚の研究を出来るだけ寛大に読もうとして、氏の考えはその経歴を通して貫いてきた、一般的に認められてきた知識に対する懐疑的な姿勢の産物ではないかと考えた。そこで私はこの一件を、ナショナリズムや人権をめぐる強力な感情を触発する問題として、それにまつわる事実関係、論理、そして解釈についての批判と意見の相違の一つの例として捉えようとした。そして学者たちがラムザイヤー氏の研究を精査することで、彼の主張の的確さについて評価することができるであろうと予期していた。しかし私はその時点で、この作業がいかにシンプルであると同時に不可思議なものになろうとは知る由もなかった。

この問題は韓国対日本、犠牲者対加害者、または女性対男性というような構図に簡単に還元されやすいものである一方、歴史家たちは戦争に引き裂かれたアジアに設置された数百の慰安所、いくつもの国籍にまたがる人々、そして無数の個人的な体験を含む従軍慰安婦制度の特徴と意味合いについて慎重に探求し続けてきた。研究者の間では、女性たちを確保する過程で日本軍や民間の周旋業者が果たした役割についても議論されてきた。韓国では朝鮮人周旋業者が同胞たちを陥れることに果たした役割や、貧困に苦しむ家族が娘たちが連れて行かれることを許したことについての歴史的清算は、控えめに言っても困難であり続けている。また「性奴隷制」という言葉が人間を動産として売買した奴隷制度(chattel slavery)を想起させるため、動産としては扱われないまでも残虐な監禁状態の中で起こった虐待やレイプなどの状況を捉えるものとして、最適なのかについても議論されている。ここ数十年の間、歴史家たちは従軍慰安婦に対しての暴力やその強制力は多義に渡ると認めていたが、同時に暴力行為や脅しは常態化していたことを突き止めてきた。このような動きとは逆に、ラムザイヤー氏の発言は複雑な状況を単純な否定に矮小化することに専念しているように見える、つまり朝鮮人従軍慰安婦は自発的に売春婦として戦地に向かったのだと。

第二次世界大戦の終盤における日本帝国のアメリカに対する降伏、そしてそれに伴う朝鮮、台湾、満州、西太平洋での植民地支配の終焉は、その後70年間に及ぶ日本による戦時中の残虐行為に対する非難、謝罪、そして否定の繰り返しの始まりでもあった。日本は1951年にサンフランシスコで調印した連合国との平和条約で朝鮮の独立を承認した。さらに1965年に結ばれた条約により韓国と日本との間の国交が正常化され、これにより両国は「財産,権利及び利益(中略)に関する問題」は「完全かつ最終的に解決された」と合意し、以後それらに関する「いかなる主張もすることができない」とした。この条約は従軍慰安婦については触れておらず、その後、彼女たちの請求権も解決済みなのかどうかをめぐっての争いへとつながっていった。

性的暴行の被害者が社会的に非難に晒され排斥されてきた韓国では、慰安婦問題については何十年もの間、広く議論されてこなかった。しかし1990年代初頭までには生存者が自らの体験について公に語り始めていた。1993年には日本がこの問題の分水嶺となる「河野談話」を発表し、これは日本軍が慰安所の設置や、慰安婦にするために女性たちの「意思に反して」集めることに関与していたことを認め、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」と明言した。さらに日本側は「心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」とし、「歴史の真実を回避」しないと約束するとともに「歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意」を表明した。しかし2006年に安倍晋三氏が首相に就任してから、日本は河野談話の謝罪の姿勢から後退するように見えた。コネチカット大学の近代日本・韓国史専門の歴史学者であるアレクシス・ダデン氏がいうように、安倍政権下の日本は、慰安婦問題についての「客観的な歴史研究に関しては居心地の悪い」環境になっていった。その重要な例として、2014年に日本の外務省がアメリカの教育出版大手のマグロウヒル社に対して、同社が出版している世界史の教科書の一冊から慰安婦に関するいくつかの段落に及ぶ記述を削除するように圧力をかけようとしたことが挙げられる。この時、出版社側は学者たちにより確立された歴史的事実を根拠に、削除要請を拒絶した。安倍氏はこの結果について、「主張すべき点をしっかりと主張してこなかった、あるいは訂正すべき点を国際社会に向かって訂正してこなかった結果、このような教科書が米国で使われているという結果になってきた」と嘆いた。

2015年には20名の在米歴史家たちが(これには私の『The New Yorker』誌での同僚であるジェラニ・コブも含まれている)アメリカ歴史学会が出版している雑誌への投書という形で、従軍慰安婦に関する「歴史教科書における記述を抑圧しようとする日本政府の試みについての失望」を表明する書簡を発表した。その中では、第二次世界大戦中の残虐行為を消し去ろうとする日本による動きが、アメリカ国内のいくつかの教育委員会で見られた「アフリカ系アメリカ人奴隷制に関する記述を曖昧にするために教科書を書き換えようとする」試みと比較されている。ハーバード大学の近代日本史専門の歴史学者であるアンドルー・ゴードン氏はこの書簡に署名した学者の一人だった。同年ゴードンとダデンの両氏は慰安婦に関する別の公開書簡のまとめ役の中に名を連ね、これには複数の大陸にまたがる大学で日本研究を専門とする数百にも及ぶ研究者の署名が集まった。第二次世界大戦終戦の70周年を迎えようとしていたことに触れつつ、学者たちは「大勢の女性が自己の意思に反して拘束され、恐ろしい暴力にさらされたことは、既に資料と証言が明らかにしている通り」だとした上で、「過去のすべての痕跡を慎重に天秤に掛けて、歴史的文脈の中でそれらに評価を下すことのみが、公正な歴史を生む」のだと書き記した。さらに学者たちは「歴史研究の自由」を擁護し、各国政府にも同じようにするよう促した。

その一方、韓国では日本側の責任軽視の姿勢に対する憤りが募るあまり、朝鮮人の処女達が日本軍によって銃口を突きつけられながら誘拐された、という純粋主義的な説明以外の記述に対して、時に不寛容な状況が生まれていた。同じく2015年には韓国人学者で、従軍慰安婦の徴集において朝鮮人が果たした役割や、「奴隷的な状況」の中で監禁されながらも慰安婦と日本兵との間に時に芽生えた愛情関係について探求した本を出版した朴裕河氏に対して、元慰安婦によって名誉毀損の民事訴訟が起こされ、さらに氏は韓国の検察当局によっても刑事訴追を受けた。この本は、一部の人が主張しているように、日本の責任や慰安婦が受けた残虐な虐待を否定するものではなかった。日米の67人の学者によって発表され、韓国政府による朴氏の起訴に対して「強い驚きと深い憂慮の念」を表明するとともに彼女の著書の研究成果を評価した声明には、ハーバード大の近代日本史家であるゴードン氏も署名している。朴氏は最終的に民事訴訟では敗訴し、元慰安婦に対して賠償金を支払うように命じられた。名誉毀損についての刑事訴訟では彼女の学問の自由に言及した裁判所によって無罪判決を受けたが、その後上級裁判所がこの判決を破棄し罰金を科した。

さらに2015年に日本と韓国はオバマ政権の後押しも受けながら新たな合意を結び、この中で安倍首相は元慰安婦に対して「心からおわびと反省の気持ち」を表明した。日本側は韓国によって元慰安婦に対して補償金を支払うために設立された財団に10億円出資し、両政府は「今後、国連等国際社会において本問題について互いに非難・批判することは控える」ことを約束した。そして両者とも慰安婦問題がこれによって「最終的かつ不可逆的に解決された」と言明した。しかし韓国人元慰安婦側はこの合意が自分たちに相談せずに韓国政府が結んだものであり、韓国初の女性大統領である朴槿恵氏による裏切りだとした。朴大統領はおそらく、生存している元慰安婦が亡くなる前に日本から謝罪の言葉と補償を引き出したかったのではないだろうか。しかし、朴氏は2017年に大統領の座を追われ、代わって就任した文在寅氏は前任者が結んだ合意について、これは「慰安婦問題を解決できるものではない」と述べた。その一方で日本は、世界各地に設置されていた慰安婦の銅像について激しく抗議していた。アメリカでは、ロサンゼルス郊外に設置された像を撤去するように求め、最終的には原告側の敗訴に終わった訴訟に日本政府が意見書を提出し、またサンフランシスコ市に同様の像が設置されると大阪市が同市との姉妹都市関係を解消した。今年の一月に韓国の裁判所が慰安婦に対する謝罪と賠償を命じてから、日本側の発言はさらにエスカレートしていった。2月に日本の外務省ウェブサイト上に現れた新たな文言では河野談話には触れず、「『強制連行』や『性奴隷』といった(中略)史実に基づくとは言いがたい主張」を非難している。

日本と韓国との争いの政治学を解明するのは容易ではないが、ラムザイヤー氏がいかにして朝鮮人慰安婦に関して論文で主張した結論に至ったのかということも、それ自体が不可解なものであった。今月上旬、アンドルー・ゴードン氏と同じくハーバード大所属の歴史学者であるカーター・エッカート氏は、ラムザイヤー氏の論文をウェブサイトに掲載した『International Review of Law and Economics』誌より、その他何人かの学者と共にラムザイヤー氏に対しての講評を寄せるよう依頼され(私自身も同様の依頼を受けた)、両氏は共同でそれに応じることを決めた。ラムザイヤー氏の論文の中の脚注を調べていく過程で、同論文では戦時中の慰安所と朝鮮人慰安婦との間に交わされたとする契約書の原文はおろか、その内容を詳しく記した二次資料や第三者による契約条件に関する言及さえ引用されていないということが判明した。引用されている資料の中で、唯一契約内容に関する具体的な情報を含んでいそうな文献を両氏が調べてみると、そこには1938年に作成された日本人女性を「酌婦」として雇う際の契約書の見本が掲載されていた(「酌婦」という職業は性労働を伴うものであると理解されていた)。労働契約の趣旨を理解するためには、労働の性質、賃金、そして雇用期間について知る必要がある。しかしゴードン、エッカート両氏がラムザイヤー氏の資料を調べたところ、朝鮮人女性と交わされた契約(文書・口頭を問わず)の条件についての情報を示すものは一つもなかった。

エッカート、ゴードン両氏は戦前及び戦時期の日本人女性の性労働契約書から、朝鮮人女性も似たような条件や構造の契約のもとで戦地の慰安所で日本軍を相手に性労働に従事していた、と推論するのは不当だと考えた。両氏はまた、仮に朝鮮人女性やその家族が、彼女たちが慰安所で働くための契約を結んでいたとしても、必ずしも性的目的のために雇われた事を理解していたとは言えないことから、その様な契約を自発的なものと見なすことは出来ないとした。またエッカート、ゴードン両氏は、第二次世界大戦に至るまでの数十年間の間、「慰安所」という用語は必ずしも性的な意味合いを帯びておらず、当時の日本や朝鮮の新聞紙面では公園内の休憩所、ホテル、児童のための施設、温泉保養施設などを指すために使用されている、とも指摘している。さらにゴードン氏から私に提供された、1940年に日本の大手新聞に掲載された記事の氏による翻訳版には、「慰安婦」の募集広告に応じて中国北部に出向いたある日本人女性が現地についてからその仕事の本質を知って驚いた、と書かれている。この記者は、読者も女性と同様に、「慰安婦」が性労働者を意味しているとは知らないでいる、という前提でその記事を書いていたのである。

その根拠となっているはず証拠を確認できずにいるままでは、ラムザイヤー氏の実証的な主張に対して反応することが出来ないと判断したエッカート、ゴードン両氏は、依頼主の雑誌編集者に対し、論文に「学問的誠実性(academic integrity)に関する問題がある」と伝え、同論文の撤回を要求した。数日後、雑誌側は「懸念の表明」を発表し、その中で読者に論文中の「歴史的証拠について懸念が提起されている」と警告し、それらの「主張は現在調査中」だとした。

本記事のための取材でラムザイヤー氏に話しをすると、彼は「朝鮮人の契約書は持っていない」と言った。さらに氏は今回の論文が、1991年書いた戦前期日本での売春における年季奉公契約についての論文を元にしているのだと説明し、その研究は「歴史的記録の中にある膨大な数の議論」に基づいているのだとした。しかしその戦前期の売春に関する論文は第二次世界大戦中の戦地での性労働や朝鮮人従軍慰安婦については言及していない。ラムザイヤー氏は、朝鮮人慰安婦の契約書について「契約書を手に入れることが出来ればクールだと思った」と私に語り、続けて「でもまだ見つけることが出来ずにいる。もちろん、あなたにも見つけることは出来ない」と言った。氏は1991年の論文で戦前の日本における売春・年季奉公契約が概ね「奴隷制」ではなく自発的労働であったと論じていたため、もし朝鮮人女性が戦時中の慰安所での労働のために似た様な契約を結んでいたとすれば、彼女たちの労働も性奴隷制ではなく自発的なものであったと見なすことができると彼は考えたのだと、私は理解した。

近代日本史研究界の重鎮で、オーストラリア国立大学の名誉教授であるテッサ・モーリス=スズキ氏もラムザイヤー氏の論文の撤回を求める書簡を掲載雑誌に送った学者の一人だった。彼女は書簡の中でラムザイヤー氏が「奇怪なことに彼は特定の場所と時代を対象とし行った以前の研究内容を、別の場所と時代に入れ替え、当初は1920年代から1930年代初頭の日本に存在していた制度に関する研究だったものが、その制度が異なる時代、異なる場所、そして全く別の状況下に存在していたにも関わらず、それがまるで1930年代後期から1940年代の戦時期『慰安所』制度の話であるかのように提示されている」ことに注目した。モーリス=スズキ氏はさらに、多くの場合、ラムザイヤー氏が引用している資料と、氏がそれらを通して展開しようとする主張が合致していないことも指摘している。その一例としてラムザイヤー氏が「日本政府は募集規則の草案を作成する中で、既に就業中の売春婦のみ選抜するようにした」として、二つの日本政府の公文書を引用している箇所がある。しかしモーリス=スズキ氏はそのうちの一つの文書が実際には「『誘拐に類し』た形で集められていた女性もいた」ことを明らかにしていることを発見した。

日本における売春や女性の社会史についての著書がある、ノースウェスタン大学のエイミー・スタンリー教授は、ラムザイヤー氏が言及を怠った、既に確立された歴史的証拠、特に女性たちが慰安所から逃げるのを防ぐために行使された暴行や脅迫についてのものは、彼女たちが自発的に慰安所にとどまっていたのだという氏の主張を「破壊する」と私に語った。スタンリー氏は三大陸をまたぐ4名の日本史研究者と共同で作成した35ページに及ぶ文書の中で、ラムザイヤー氏による日本語資料に関する不当な説明を列挙し、氏の不正確な引用行為に光を当てた。テッサ・モーリス=スズキ氏と同様に、スタンリー氏たちも、ラムザイヤー氏の論文中の主張の多くが、それらを支えるために氏が引用した資料と明らかに相容れないものであることに気がついた。その顕著な例として、売春婦になるためにボルネオ島に渡った一人の日本人少女についてラムザイヤー氏が書いた箇所がある。氏のよると「おサキが10歳になった時、ある周旋業者が訪ねてきて彼女が海外に行くことに同意すれば300円を前払いすると誘った。業者は彼女を騙そうとしたわけではない。10歳であっても彼女はその仕事が何を伴うのかを知っていた」というのである。(ラムザイヤー氏は論文中で10歳児に性的合意をする力があるのかという疑問に関しては触れていない。)スタンリー氏たちはラムザイヤー氏が引用した本に出てくるおサキの証言では、実際には彼女や一緒にいたその他の少女たちが売春宿の経営者に対して、「何の仕事と言わんで連れて来て、今になって客ば取れ言うて、親方の嘘つき!」と言って抵抗していたことが記されているのを見つけた。さらにおサキは「ひと晩客ば取ってみて、うちらは、恐ろしゅうして縮み上がってしもた。男と女のこと、ようは知らんじゃったもんじゃけん、世の中にこげな恐ろしかこつのあろうか」と感じたことを回想している。研究者たちは同時に、自発的な契約制度について論じるラムザイヤー氏自身がおサキの雇い主を「所有者」(owner)としていることを、「奇異」であると感じた。(ラムザイヤー氏は研究者たちから指摘された氏による 「言い間違え」について、私に宛てた電子メールで「当惑している」と書き、さらに「なぜこのようなことが起こったのかわからないが、確かにここでは間違いを犯した」と付け加えた。)

カリフォルニア大学ロサンゼルス校でゲーム理論を教える経済学者のマイケル・チェ氏は、ラムザイヤー氏の論文撤回を求める経済学者のグループのまとめ役を務めた人物だ。チェ氏は「経済学、歴史学、社会学、その他のいずれの分野においても、必ず用いなければならない学術的基準というものがある。その一つに、引用元である資料に忠実な形で引用しなければならないということがある」と私に語った。チェ氏は公開書簡の中で、ラムザイヤー氏の結論が経済学やゲーム理論によって正当化されうるという考え方を拒絶している。この書簡には学術雑誌の編集に携わった多くの研究者を含める1000人以上の経済学者たちが署名した。書簡の中で研究者たちは「ゲーム理論は、罪と罰から核戦争まで、強制を伴う多くの状況を解釈するために役立つが、ゲーム理論を用いることで暴力的な搾取や略奪行為を無かったこととして立証することは出来ない。また同様にそれらの関係が合意の下であったと結論づけることも許されない。ゲーム理論的原則は(ラムザイヤー)論文の無謀な主張に対して魔法のように口実や権威を付与するものではない」と言明した。

ノースウェスタン大学ロースクールで教授を務めるアレックス・リー氏も経済学者の声明に署名した一人である。そしてリー氏は30人以上いる『International Review of Law and Economics』誌の共同編集者の一人として、査読作業に関わってきた。ラムザイヤー氏の論文が選ばれる過程には参加していなかったリー氏は、論文を読んでからその広範囲にわたる主張が適切に裏付けられていないことに危惧を抱いた。彼は別の編集者に連絡し、近代日本・韓国史の専門家から論文に対する反応を求める許可を得た。(氏は私にも同様の依頼を打診した。)その数日後、リー氏は共同編集者の立場を辞任した。リー氏は私に送ってきた声明文の中で、「あの論文を掲載することはよく言っても重大な判断ミスであり、厳しく言うなら極めて無責任かつ非倫理的な行いだった」とし、「もし雑誌側があれほど重大な、場合によっては大きな被害をもたらす可能性のある歴史修正主義的な主張を審査する術を持たないのであれば、そもそも論文を受け入れるべきではなかった」と明言した。(この件に関するコメントを筆者は雑誌側に依頼したが、回答は得られなかった。)

ラムザイヤー氏の主張をここ3週間検証してきた学者たちと交わした会話は、私にとっても目を見張らせるものだった。というのも、私は研究者たちの専門的な基準や手続きを維持することに対する強い決意を目の当たりにしたからである。氏の主張は多くの人々にとって挑発的で苦痛を感じさせるものであったが、研究者たちは真実の追求だけに注力したのだった。エッカート氏やゴードン氏は証拠を追うという学問の自由を守るために、慰安婦問題も含め、たとえそれが気詰まりで、議論の余地が多い内容だったとしても、度々発言してきた。また、エッカート、ゴードン両氏や、私と話したその他の歴史家たちは、朴裕河氏による慰安婦についての本が証拠に基づく議論をする余地を残しているにも関わらず、朴氏が受けている迫害に対して異議を唱えた。さらに、サラ・ソー氏による慰安婦制度において朝鮮の家父長主義的社会が果たした役割に注目した、多面性に富む研究についても同じ歴史家たちは擁護している。この研究は否定主義者により武器化されたが、日本の責任を無視した反韓的なものであるとの不当な批判も受けた。研究者たちにとって最も重要なことは学問的責任なのである。

ラムザイヤー氏は私にメールで、韓国、日本、そしてその他の地域にいる彼の支持者について知らせてきた。その例として、氏に対する「魔女狩り」を抗議している15人の韓国人による声明文がある。これには2019年に『反日種族主義』という本を共著した4人の人物も含まれており、本の中では慰安婦にまつわる性奴隷制の話は嘘だという主張も展開されている。署名者の一人は経済学が専門の元ソウル大学教授だが、この人物はテレビ・レポーターを平手打ちにしたところを撮影されたビデオ映像にも登場している。また別の署名者は慰安婦像の撤去を求めるデモ隊を率いていた際に殴られたことで知られている学者だ。声明文はラムザイヤー氏の論文が「『International Review of Law and Economics』という著名な国際的学術誌により、査読も含めた適切な審査を経て掲載された」と指摘した。2月8日には、日本にある組織に所属している6人の歴史家を名乗る人物が公開書簡を発表し、ラムザイヤー氏の学問的誠実性を擁護し、氏の研究が「取り消し」とされないことを求めた。しかしこの6名のほとんどは歴史学の学位を持たず、戦時中の日本による残虐行為を否定することに注力している右派団体とつながりを持つ人々のようだ。

ラムザイヤー氏はまた、2人の在米日本研究者が彼に対する支持を表明するために雑誌側に送った書簡も見せてくれた。そのうちの一つは2月4日にカリフォルニア大学バークレー校の名誉教授で16世紀から17世紀専門の日本史家である、メアリ・エリザベス・ベリー氏から出されたものだ。ベリー氏はラムザイヤー氏の「研究は力強く、厳格かつ慎重に進められたものである」として、氏の分析は「日本の高名な研究者の中で広く共有されている立場」を反映するものだと述べた。しかしベリー氏は論文の学問的誠実性についての問題を示した文書を読んだ後、私に宛てたメッセージの中で「これはとても重大だ。マークは綿密にこの文書に答える必要がある。そして必要に応じて誤りを認めるべきだ」と書いてきた。もう一つの書簡は同じく2月4日にコロンビア大学で日本経済の教授を務めるデイビッド・ワインスタイン氏からのもので、こちらには「学術誌は時に議論を呼ぶ事実に基づいた記事を掲載し、どの主張が説得力を持つのかを読者自らに決めされることが重要だ」と書かれている。しかしワインスタイン氏も歴史家たちの調査結果について読み、「もし編集者たちが自分たちの査読作業が基礎的事実の記述に関する重要な誤りを見落としていたと結論づけるのであれば、撤回するのは妥当だ」と語った。

私は学者が不人気な意見や、私とは全く反対の見解を表明する権利は擁護する。しかしラムザイヤー氏の件は、学問的自由とは責任を伴うものであり、事実に関する主張は適切な証拠に基づいたものでなければならない、という強いコンセンサスを明らかにした。学者たちはラムザイヤー氏の研究を精査していく過程で、氏が最近発表した、日本で厳しい差別に晒されてきた社会的少数者(マイノリティー)に関するいくつかの論文の中にも歴史的資料の誤用があることを発見した。これらの論文は被差別部落出身者、沖縄人、在日韓国・朝鮮人などについてのものである。ノースカロライナ大学で日本社会史専門の教授を務めるデイビッド・アンバラス氏は、他の研究者と共同で、被差別部落出身者や在日韓国・朝鮮人についてのラムザイヤー氏の主張の根拠となる事実について現在調査中であると私に語ったが、その結果はまだ公開されていない。土曜日には、エルサレムにあるヘブライ大学の法学教授で近々出版される予定の『Cambridge Handbook of Privatization』の共同編集者であるアロン・ハレル氏が、同じく共同編集者であるアビハイ・ドルフマン氏と共に、同書に含まれる予定のラムザイヤー氏による章を「大幅に」修正することを求めたと、韓国の通信社に話した。この章でラムザイヤー氏は、1923年に関東大震災直後の日本で起きた朝鮮人虐殺事件で、歴史学者が6000人に上ったとする犠牲者数に対して疑問を投げかけているだけでなく、朝鮮人の若者を「犯罪率の高いグループ」であったとみなし、朝鮮人による放火やレイプ等の根拠のない流言を繰り返している。ハレル氏は「歴史については、我々よりもラムザイヤー氏の方がよく知っていると思い込んでいた」としつつ、この件は「当方の悪気がなくとも、とても遺憾な誤りであった」と責任を認めている。火曜日には、この章の元となった論文を掲載した『European Journal of Law and Economics』誌が、同論文についても調査が進められていると読者に向けて警鐘を鳴らした。

歴史学者のモーリス=スズキ氏は同誌の編集者に送った書簡で、氏の40年に及ぶ学究生活の中で「学問的基準の破綻の例としては最悪のものだ」とし、「これは査読作業全体の崩壊をも意味している」と述べている。これは特に、法学研究における査読の弱点を示しているのかも知れない。法学者は、方法(例えば法理分析、法的解釈、法と経済学など)、あるいは特定の分野(契約、不法行為、財産など)の専門家として、しばしば自ら学んだことのない歴史的文脈や知らない言語を扱う、専門からは程遠い分野の著作物を審査しなければならない。この総合的な姿勢は、法学者が縦割り主義を避ける上で有効であり知的刺激を産むものだが、同時に学者個人の精励と厳密さに対する信頼の上に成り立つものでもある。しかしラムザイヤー氏の件を受けて、今後これを再検討する必要があるかも知れない。

しかし広い視野で見れば、事実に基づかない論文はただ無視するだけで良いのではないか。モーリス=スズキ氏も指摘しているように、世界には「無数の奇妙な論文が、無数の奇妙な人々によって書かれている」。しかしラムザイヤー氏の場合、彼女が言うように「ハーバード大の教授によって書かれたということで、ある程度の知名度と社会的地位を持ってしまうため、これについては慎重に見定めなければならない」。確かにこの数週間、ラムザイヤー氏の論文を読むまで慰安婦に関する「常識的な」ストーリーが問題視されているとは知らなかった、という声を同僚たちから聞いた。モーリス=スズキ氏は今回の件が、人々が「事実に基づいていないにも関わらず、事実であると自ら主張するものに圧倒されている」という現代的な問題の「とても良いテストケース」だと言う。同時にラムザイヤー氏は、自身による慰安婦の研究を、曰く「性差別、人種差別、そして帝国主義」に夢中になっている学問的なコンセンサスにより承認された「完全な作り話」を論駁するためのものだと位置付けている。

モーリス=スズキ氏は、研究上の誠実性を保ちつつ、同時に言論の自由を守るためにはどうすれば良いのか、という課題を学生に教えるための「教材」をラムザイヤー氏の論文を事例として作成した。その中では、次の様に説明されている:「もし基礎となる原則がないのであれば、学術雑誌は投稿されたいかなる論文をも拒否する根拠を持たない。どのような主張も、たとえ論理や事実に基づく証拠を欠いているものであっても、他の主張と同等のものとして扱わなければならない、ということになってしまう。その結果、私たちは容易に、何の知的根拠もない陰謀論やフェイクニュースを議論することに、残りの人生を費やすことになりかねない。最も単純で率直な言い方をすると、もし学術的基準というものが存在しないのであれば、私たちはもう話を切り上げて家に帰れば良いのである。もう何でもありなのであり、いかなる真実の主張もそうでないものと同等なのだから」

韓国や日本では、慰安婦に関する論争は特に目新しいものではない。今回の件で唯一新しいことと言えるのは、世界中の人々にとって正当な学問と結びつけて考えられている大学から、見慣れた極端な否定主義的意見が出てきたということだ。スタンフォード大学の韓国と日本の専門家であるダニエル・スナイダー氏は、アジアにおいて戦争の記憶をめぐる戦いの国際関係への影響を研究している。また同氏は1980年代以来、韓国と日本の両国で記者として取材を続けてきた。スナイダー氏は、『Japan Forward』に掲載されたラムザイヤー氏の主張は、「まさに日本の歴史修正主義的な右派が論じてきたものだ」という。スナイダー氏によると、同氏に対して、ある日本の外務省高官がラムザイヤー氏の研究について、「韓国側の立場の偽りを示す更なる証拠だ」と語ったと言う。またこの高官は、歴史家たちによるラムザイヤー氏の論文の調査結果を知ってからは、日本政府はラムザイヤー氏の主張を支持する訳ではないと、スナイダー氏に対して約束したという。しかし「韓国側がラムザイヤー氏を追求し続ければし続けるほど、日本の一部の人々は彼をより強く擁護したくなる。これはとても有害な力学だ」と同氏は見ている。今週に入ってから、日本の大手夕刊紙である『夕刊フジ』が、ハーバード大の教授の研究により慰安婦が公娼であり、性奴隷性はなかったことを証明したと報じた。さらに同紙は、怒り狂った韓国人たちが、他のハーバード大学教授にラムザイヤー氏を批判するように圧力をかけたのだと主張した。

第二次世界大戦と日本による植民地支配の終焉から75年の厳しい年月を経て、日本による過去の行いについて、責任が誠実に果たされていないという不満は今なお韓国に残り、これは日本側の韓国は常にゴールをずらし続け、決して納得するとはない、という認識と常に表裏一体であった。意図したわけではなかったにせよ、ラムザイヤー論争は、タイミングからしてもこのような関係を悪化させには、うってつけのものだった。私はこの1ヶ月ほどの間、日本研究者からの細かな手解きを受けながら、氏の文章、論理、そして資料にどっぷりと浸かりながら過ごしてきた。私はこの「旅」を終えるにあたって、現在のお互いの認識について、理解し合えるのかを確かめたく、今一度ラムザイヤー氏に連絡した。私も理解できるが、彼は自分のタイミングで自ら説明すると私の誘いを断った。

日本と韓国専門の歴史家であるアレクシス・ダデン氏もまた、ラムザイヤー氏の論文に対して返答するように依頼された学者の一人だった。彼女は論文に対するコメントの中で、過去の残虐行為について研究する目的は、同様のことが将来繰り返されることを防ぐためであり、「歴史を現代の目的のために武器化し、乱用することであってはならない」と述べている。彼女は私に、2000年に東京で開かれた「女性国際戦犯法廷」で出会った韓国人元慰安婦について話してくれた。曰く「一人の女性は舌を切られており、もう一人は私の前で韓服を捲り上げて、彼女の乳房の一つが切り落とされていたところを私に見せた」。ダデン氏はこの法廷が「それまでの法的アプローチを変えるためだけでなく、(人道に対する罪に関する)歴史的証拠を集める上で、口頭証言の必要性についての理解を深めるための重要な分岐点だった」と語った。ある意味では、残虐行為に関するその様な証言は、反駁しようのないものに見えるかもしれない。しかしダデン氏の様な歴史家たちは、それらを常に検証しようとし、歴史の否定、政治的な争い、そして外交の逡巡などの繰り返しの中でも、言語に絶する様な惨事についての新たな知見を生み出し続けてている。

先週、ハーバード・ロースクールのアジア系アメリカ人学生グループが催したイベントで、15歳にして慰安婦として徴集され、現在90代の「李おばあさん」と呼ばれる李容洙氏が講演した。その数日前には、韓国の小さな極右団体が、私や同僚たち、そしてラムザイヤー氏を批判した学生たちに宛てて、氏を擁護する複数のメールを送ってきた。私に宛てられたメールは、私の民族性に焦点を当て、さらに法と経済学の専門家ではない私がこの件について語るのは、「合理的な議論を妨げ」るもので「韓国と日本との間の争いを解決する」手助けにはならない、と断言している。これらのメールはさらに、李おばあさんが「偽慰安婦」であり、ハーバード関係者はイベントをボイコットするべきだ、とさえ主張した。通訳を通して彼女は、ラムザイヤー氏のおかげで、慰安婦の歴史について興味を持つ人が突然増えたため、氏の件は「不幸中の幸いなのではないか」と言った。彼女曰く、この歴史は日本が否定すればするほど、注目を集める事になるのだ。そして彼女は、自分が死ぬ前に日本と韓国が協力してこの問題を国際司法裁判所に付託する事によって起きたことの真実が立証されることを期待している、と語った。「私は罪は憎んでも、人は憎まない」と。

(永原宣 訳)

本記事の英語版「Seeking the True Story of the Comfort Women」は、2021年2月25日に掲載された。

ジニー・ソク・ガーセンはThe New Yorkerの定期寄稿者であり、ハーバード・ロースクールで教授を務めている。

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